GNSS活用事例
ICT建機用の基準局への利用(無線編)
はじめに
ICT建機のマシンコントロールやマシンガイダンスには、GNSSが利用されています。精度を向上させるためには、RTK補正情報が欠かせません。補正情報を建機が受け取るには、
- ネットワーク型RTKを利用する方法
- 無線によって伝送する方法
があります。ネットワーク型RTKの場合は、携帯電話のサービス範囲圏内である必要がありますし、建機やローバーの数だけ配信契約が必要になってきます。
自前でGNSS基準局を設置して無線で補正情報を配信すれば、同時に複数台のローバーや建機に補正情報を配信することが可能になります。
群馬県で測量機器、ICT建機の販売・レンタルを手掛けている株式会社セシャト様は、GNSS受信機と無線モデムを組み合わせて、販売・レンタルを行っています。
無線機について
使用する無線機
無線機は、稼働する現場の状況に応じて「デジタル簡易無線」もしくは「特定小電力無線」を選択します。
デジタル簡易無線
アルインコ製のデジタル簡易無線です。移動局(建機)側は受信専用機(ハンディ機)で運用可能です。
デジタル簡易無線は1~5Wの送信出力でデータの伝送が可能な無線モデムです。運用に際しては特に免許はいりませんが、総務省へ無線局の登録申請をしておく必要があります。
特定小電力無線
当社で特定小電力無線モデムを独自に開発しました。特定小電力無線は、出力が20mWと小さいですが、免許や登録が不要です。
一般仕様品はリチウム電池を内蔵しています。建機取付用に外部電源(DC12-28V)で駆動できるタイプも準備しています。
どのくらい飛ぶの?
無線機の性能で一番気になるのは通信距離ですが、一概に〇〇km飛びます・・・といえるものではありません。カタログ上の通信距離は見通し範囲の通信距離になりますので、実際の距離はそれとは異なります。また、使用する周波数帯によって電波の伝わり方も違ってきます。
一応当社で実験した範囲では、以下の結果を得ています。
特定小電力で見通し1.1km(カタログ仕様は1.2km)
デジタル簡易無線で見通し5.4km(カタログ仕様には不掲載)
基準局セット
ICT建機の基準局として容易に設置できる様、無線機をプラボックスに組み込みました。基準局用GNSS受信機も単管へ設置できる様金具を製作しています。
特定小電力無線(左)・デジタル簡易無線(右) |
最後に
取材協力ありがとうございました。