GNSS活用事例(八甲田山パイロット除雪)

 

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GNSS活用事例

八甲田山・雪の回廊 パイロット除雪実験

株式会社工組様、高見土地家屋調査士事務所様

はじめに

青森県八甲田山の国道103号線は、冬季間は一部通行止めとなっています。この区間は毎年4月1日に「雪の回廊」として開通させます。

積雪が4m近くありますので、まず数10センチ切り下げる「パイロット除雪」を行います。
従来は、道路の両端・路面と路肩の境目を棒を突き刺すことで探し出し、その中間が道路中心であろうという事で除雪を進めてきました。

これをGNSSを活用した手法に置き換えることができないか?検証実験を行いました。

*本記事は、2021年・測量G空間イノベーション大会で発表した内容に基づいています。


事前準備

降雪前の事前測量

まず、降雪前にUAV測量によって現況を測量してデータ化しました。
現場は携帯通信の圏外ですので、VRSが使用できません。それで、UAV観測データはHi-Target・PPKgoを使用してPPK処理したうえで、SfMソフトウェアで解析しました。

出来上がったオルソ画像

解析結果を基に、路線中心線と縦断面のLandXMLデータを作成します。
LandXML(中心線形)

LandXML(TIN)

GNSSの設置

今回の現場は一部携帯電話の圏外となる部分があり、VRSが使用できません。それでRTKで検証することにしました。区間が数キロと長く、道路もカーブの多いので見通しがよくありません。それで、デジタル簡易無線を使用することにしました。

降雪前に設置しておいた既知点上に基準局を設置します。

基準局と無線アンテナ

移動局は、試験的に雪上車上にマグネット基台を使用して取り付けました。

移動局と無線アンテナ

誘導してみた

検証は、測量アプリHi-surveyの路線測設機能を利用しました。本来は、定義した路線上に中心杭や幅杭を測設していくための機能です。

作成したLandXMLをインポートして中心線形へ誘導できます。下図のように路線中心までの距離と左右の端までの距離をリアルタイムで確認することが可能です。縦断面も定義されていますので、ここで表示されている高度差は積雪量という事になります。


  1. 現在位置(K23+0.0036)杭番号が23番なので、スタート地点からおよそ460mの地点にいるという事が分かります。
  2. オフセット(Dist:-1.2679)中心線から左に1.2679m外れている
  3. 高度差(ΔH4.0941)地面まで4.0941m

結果

本機能を使用して、雪上車を誘導しました。従来方法で決定した道路中心(下写真の枝を刺した所)に一致していることを確認しました。


おまけ(TINデータ)

測量アプリHi-SurveyはLandXML(TIN)も取り扱い可能です。高度差確認機能を利用すると、現況高さとTINデータ高さの差をリアルタイムで確認することができます。



最後に

取材協力ありがとうございました。

株式会社工組

高見土地家屋調査士事務所